恩を忘れない心       チウ・ヒーア

  皆さんは自分の親以外にお世話になっている人がいますか。
誰でもお世話になっている人がいると思います。  カンボジアには、貧しい生活を送っている人がたくさんいます。そして、その人たちを支援するカンボジア人や外国人もたくさんいます。皆さんの中にも他の方々の支援で学校へ行ったり会社に就職した方がいらっしゃると思います。  

私は貧しい村で生まれました。村では学校へ行くことも自分で勉強することもできませんでした。 2000 年に私はシェムリアップへやって来て、ある孤児院で生活することになりました。その日から私は家ではできなかったことができるようになりました。今、私は高校に通っています。孤児院の指導員は厳しい人ですが、心の中はとても優しい人です。もし、私が間違ったことをしたら、すぐにしかって間違いを正してくれます。どの子もえこひいきなしにかわいがってくれて、いつも私を応援してくれます。怪我をした時や病気になった時は、一日中看病してくれます。私がかかとに大怪我をしてしまった時も指導員は手厚い看病をしてくれました。私は嬉しくて涙が出ました。指導員だけではありません。孤児院では訪問してくださる日本人の方々や日本語や英語の先生にも大変親切にしてもらっています。このように私は色々な方々から恩を受けています。もしその方々がいなかったら、今、私はこのスピーチを書くこともできなかったでしょう。本当に心から感謝しています。

  しかし、孤児院でとても残念な出来事がありました。長い間一緒に生活していた子どもが孤児院を出て行ってしまったのです。その子どもは指導員のアドバイスを無視して自分勝手なことをしたり、口答えをしたりしていました。どうして出て行ったのか彼の気持ちはわかりません。しかし、受けた恩を忘れて、お世話になった方々に感謝の気持ちを伝えずに、孤児院を出て行ってしまうのは大変失礼なことだと思います。子どもが出て行く時、指導員は笑顔で見送っていましたが、きっと心の中では泣いていたでしょう。皆さん、もし誰かのために何かをしたのに、それが無駄になってしまったら、どんな気持ちになるでしょう。私はお世話になっている方ががっかりする顔を見たくないです。私は毎日、自分の将来のために、一生懸命勉強したり、小さい子どもの面倒をみたりしています。今はまだ、お世話になっている人に何も恩返しすることができません。  

人が生きているのは人のおかげです。私はこれからも孤児院の指導員が教えてくれることを素直に聞いて、頑張って勉強したいと思っています。そして、将来は孤児院で学んだことを生かした仕事がしたいと思っています。今、私はしていただくばかりで、お世話になっている方々に何かをしてさしあげることはできませんが、将来は孤児院の指導員のように、次の時代の子どもたちの世話をしたいと思っています。人間は思いやりをもつことが大切です。僕が親切にした人が次の時代の人たちにその気持ちを伝えて、そしてまた次の時代の人たちへ、次から次へと続いていけば、人を思いやれる人がどんどん増えていくでしょう。親切な気持ちは親切を生むのです。皆さん、お世話になった人に対して恩を仇で返すようなことは絶対にしてはいけません。
お世話になった方への気持ちを忘れずに、自分も誰かに親切にすることは、お世話になった方への恩返しにもなると私は思います。皆さんは、どう思われますか。